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宮崎駿 by Yasman
2013年9月3日, 12:00 AM
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Blu-ray Disc Music「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV 」は結果、ウィークリーチャート11位になった。もし途中で売り切れていなければ、10位以内の可能性もあったと思う。それでも、CDでないものが20年ぶりにアルバムチャートに入ったのだ。

スクエニさんの努力とチャレンジに感謝したい。今も「CDでも出して欲しい」という声は聞こえてこない。分かっていないのは、我々の方なのだ。今回、唯一「CDを付けて欲しい」といったのは店舗のある小売りだった。スクエニさんは「意味ないでしょう。」と一蹴したという。

さて、この間の続きです。ワンダーステーションの浜田さんから「アナログテープありますか?」と電話があった。「どうしたのですか?」と聞くと、宮崎駿さんが時代背景的にモノラル、しかもアナログで録りたいと言っているのでと言われ、驚いた。

ちなみに僕はバーニー・グランドマン・マスタリングという名前の下で個人的にATRアナログテープも輸入販売している。良いものは未来に残さないといけない。そういう思いで始めたプロジェクトだ。

モノラルの映画。センタースピーカーしか使わない映画なんて、それを聞いただけで、ぞわっと鳥肌が立った。驚く限りのクリエイティビティだと思った。調べたところ、御年72才ではないか。

何故だろう。どうして音楽業界ではこういった発想ができなくなってしまったのだろう。僕は、「サントラはどうなるのだろう。」「BDなどのパッケージはどうなるのだろうか。」と興奮した。 

サントラは聞いていないが、ステレオらしい。パッケージについては、まだ告知はない。

映画を初日に観に行ったうちのスタッフに聞くと「盛り上がりに欠けました。」と感想が返ってきた。それは、そうだろう。空を飛んでいるものが、真ん中で音がするのだから、と思った。

そんな予備知識がないから(それがどういった意味なのか)、余計に感性を揺さぶり感情を心に刻める。その感想を聞いて、僕はどきどきした。「早く観たい。」そして、深夜の時間帯に観に行った。

予告が始まる。大抵の予告はサラウンドなので、音場の広がりなどを聞いていた。モノラルになると、しょぼく感じるのだろうか。そして、本編がスタートした。 

最初は、台詞と効果音だけで音楽は重ならない。そして、音楽が重なり出して、度肝を抜かれた。「なんだ、この位相の良さは。」通常、僕たちが知っているモノはLとRから同じものが出るモノだ。 

1つのスピーカーから出るモノなど普通は聴けない。LとRを使うので部屋の状態で位相誤差が生じる。以前、エンジニアの牧野さんに「森川さんがビートルズを聴くのに、どうすればいいかと訊かれてる」と言われたことがある。僕はすかさず「蓄音機がいいです。」と答えた。 

一般家庭でモノのセッティングをするのは大変だ。ならば、蓄音機1台の方が良い。そんなことを思い出しながら、「すげー」と心に叫びながら本編に没頭した。

失礼な言い方だと思うが、僕は「72才のマスターベーション」と呼ばせてもらっている。それぐらい素晴らしい作品だ。事細かいクリエイティビティには、涙が出た。 

台詞の一つ一つに意味があり、共感してしまった。そう思っているうちに、これは堀越二郎ではなく、宮崎駿さん自身ではないのかと思えてきた。カプローニはウォルト・ディズニーで、「大切なのは、センスだ。」と彼に話をする。

太陽の王子ホルスを描いたとき、同じことを思っただろうと思った。セル画を何枚も描く中、白雪姫やシンデレラに勝てるのかと。まぁ、実際そんなことかどうか分からないが、「創造的人生の持ち時間は10年」という響きにドッキリしてしまう。

この意味が分かる人とそうでない人は見方が変わるだろうなと思った。 音楽BDを5年で11位にした。あと5年でできるか?と自問した。中でも号泣させられたのは、黒川さんが堀越チームの会議の勢いを見て「感動しました。」と服部さんと会話するシーンだ。ジーンときた。

昔はそうだったよな。皆、切磋琢磨していた。堀越二郎が何を美しいと思ったのかが気になって、1/32の零戦を二機買ってしまった。 九試単座戦闘機を作ろうと思ったけど売り切れで、初期の零戦二一型を作ることにした。 

作っていくうちに、そのフォルムの美しさに驚いた。鯖の骨ではない。どちらかと言えば「イルカ」に近い。ミレニアム・ファルコンやX-WINGなどを作ったが、あれでは飛ばない。やはり本物はすごい。

そして堀越二郎を感じる前にタミヤのすごさを感じてしまった。チョー、細かいよ。そして見逃してしまったことが1つあった。あの映画は、飛行機が飛んでいるのではなくて、景色が動いていたのではないだろうかと。

だったら音はずっとセンターでもいいわけだ。何かの特番で映像が流れているのを見たら、やはり景色が動いていた。参った。セルを書いている段階で、もはやモノにする気だったんだと思った。いやー、また観に行こう。 

「小人の法則」。最近、僕の中で小人の法則というのがある。この間のことだ。HMVの知り合いと食事をする機会があった。話をしているうちに彼が「ヤスマンさん、いまカラオケに行けば、トップ10のうち8つがボカロですよ。」と言った。

僕が「当たり前じゃないですか。」と言ったら、どうしてかと聞かれたので、「小人の法則です。」と話した。

ある日、大きい種族は小人と戦わないといけない日が来る。そして、小人と戦うにはその世界に入って戦わなければならない。大きい種族は自らを圧縮して小人に戦いを挑む。ただ、圧縮してしまった為に自分の力が20%になってしまった。 

そして100%の力で向かってくる小人と戦いを挑む。結果は分かるように完敗だ。そこで生まれ、存在しているものと対等に戦うこと事態間違っているのだ。だから、8つがボカロなのだと話した。 

生の声や楽器、抑揚、感動、そういったものをそぎ取ってしまうと伝わらなくなるのだ。そして結果、そこで生まれたサンプリングされたものに負けてしまう。

自分が奏でているものをしっかり伝えることをしなければ、生き残れやしない。それを疎かにしている人、マーケットがこうだからと、そこに無力なまま連れて行く人があまりに多すぎる。多分、ボカロには勝てないだろう。

カモフラージュすることで良いところにはいくとは思うが、その答えはしばらく出ない。それでも、今、実験していることがあるので、答えが出たらリポートしてみたいと思う。



4月のミーティングの話 by Yasman
2013年7月4日, 12:00 AM
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前回話をしたように、4月のミーティングの話と4/25に行われた話をしよう。某レコードメーカーのDISTRIBUTIONのCEOと話をすることができた。

これも、我が社長バーニー・グランドマンがいるから出来ることなのだが、バーニー自身も行ったことがないと言っていたので、「度々行くべきだよ。」などと話をした。

内容はBD(Blu-ray Disc) MUSICをやらないかという話だったのだか、アメリカではBD(Blu-ray Disc)の普及率が悪く、今さらフィジカルはないだろう。ただ興味深い内容なのでインプットしておくよ、日本で何か起こったら教えてくれ。という話だった。

あれこれと話をしていると、フィジカルが10数パーセント落ち込んだと話をしたので、ならば、iTunesを含むインターネットで10数パーセントの売り上げを上げているのかと聞いたら、「上げていない。」と答えた。

だったら、何故フィジカルをしっかりやらない?という疑問が湧く。 しかも、アメリカにはまだ37%のフィジカルが残っていると言っていたが、僕には既にこの37%を捨てているようにも思えた。というより、実際に捨てているのだろう。

CEOは、「今アメリカでCDを展開しているチェーンは、K-Mart, Walmart,Target の3つだ。」と話した。といっても、この3大チェーンでも、TOP40がそれも隅の方におかれ、他のCDは何も買えない。

37%のどれぐらいが新譜で、どれぐらいがカタログなのか分からないが、かなりのパーセンテージでカタログが占めているのだろうと思う。そういう人達は結局、Amazonから買っているのだ。

また、iTunesが45%あるので、Mastered for iTunesの勢いに押されている、とも話をしていた。要は、もはやアメリカはiTunesには逆らえないのだ。だから37%も捨ててしまうのだろう。

それを、「もうフィジカルではないだろう」という言葉がわからない。もう4年ほど前になるだろうか。僕に「これからは、Web Appだよ。」と話をした、どこかの技術本部長がいたが、足元が見えていない感がそれを思いださせた。

その2日ほど前にIFPIが国別の売り上げを発表したので、本来アメリカは日本の3倍市場がないとおかしいという話をしたら、ムッとしていた。今はアメリカと日本が肩を並べているが、もし今の80%を日本が保ち続けたら、2015年にはフィジカルの30%を失い、日本に抜かれてしまう。

僕は、アメリカ人は逆に音楽に純粋なんだと思う。だから、「何故、日本人やドイツ人が同じ曲を2つも欲しがるのか分からない」と話をしていた。それは僕にも説明できないから、「国民性」ということで括っておこう。

「ドイツも日本と同じように、フィジカルが売れている国だ。」と話をしていた。僕には初耳だったので、驚いた。これと平行して、とあるところからUMのヨーロッパがPURE AUDIOなる高音質BDを展開していくという情報が入っていた。

そこで、ふと思った。アメリカには少なくとも37%のフィジカルを欲している人達がいる。僕の周りを見れば、皆CDが買えないと言っている。37%といえば、200億ほどなる。日本の売り上げの5.5%にあたる。もし日本がBD MUSICを進めていけば、この200億を喰えることになる。

もし日本がやらなければ、ドイツがやるのだ。間違いなくこれに関してはドイツに先を越された。思い出してほしい。82年にCDが発売されて、僕の記憶だと86年とか87年まで普通にCDのトレーを開けば、Made in Germanyか、Made in Japanだった。

いったい、どれぐらいのCDを海外に輸出したのだろうか。要は、もう一度これができるのだ。大賀会長ができたことだ。僕たちにも、出来るはず。

当時も、アメリカなんかにマーケットなんかなかったはすだ。もしこれにドイツ人が気がついているのであれば、したたかだと思う。EUではPure Audioという、High Fidelity Audioのものを売っていく。当然コピーはできない。

僕たちにはMP3を転送できるBD MUSICがある。どう考えてもファイルが入っている方がお得感があるし、便利だ。たとえダウンロードコードがあったとしても不便だろうし、サーバーを利用するのにコストがかかり過ぎる。

しっかり取り組めば、ハードも含め、すごい利益を生むことになる。次回は、この題材を持って臨んだ、第2回BDM研究会の話をしよう。



なんつーさん by Yasman
2013年5月2日, 12:00 AM
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4月の半ばにNABに行くことにしたので、LGYankeesのなんつー(DJ No.2)さんを誘ってみた。スケジュールが合うということで、ご一緒することになった。

なんつーさんは大陸が初めてだというので、これは本人に刺激になるし、彼の創作に影響するだろうと思ったので、いい旅になると思った。

せっかくのLAとベガスなので、若い人には感じてもらいたい。アメリカと日本の音楽制作の違いまで感じたり体験したりはできないだろうが、見て、感じることで、少しでも体験の積み重ねになると感じることが大切だ。

そしてタイミングのいいことに、Staple Centerでリアーナのライブもあった。ベガスでもリアーナ公演を見ることができたのだけど、ベガスではNew Orderを観ることにしてみた。

別のジャンルと気違いじみた街の人種の溶け込みを感じられるのではないかと思った。僕は、多くを20代で経験することができた。それは今では宝だし、是非若い人たちには「こういうことなんた。」を増やしてもらいたい。

当時は金もなかったので、ベガスまではボロボロのマツダファミリアでいったものだ。サーカス・サーカスの駐車場で一晩過ごし、賭ける金もないので雰囲気を楽しんだ。カジノに一歩足を踏み入れるのも怖かった。

誰かに連れていかれることがなく、自分自身でいろいろとこなしてきた自分には、誰かのケアーをするということがすごく苦手だし、「報・連・相」を全く行わない。 自分で何故出来ないのかが分からないのだ。

どこまで、どうケアーするという、さじ加減が分からない。いまの子たちは、ポンっと放り込まれることに慣れてはいない。その分、今回はなんつーさんの人柄に助けられたと思う。なんつーさんでなければ、ギクシャクしていただろう。

そして、なんつーさんにも大きな経験になったと思うし、次回は一人で来ようと思ってもらえれば最高だ。何かのCMではないが、PRICELESSは一歩体験することから生まれる。

今でも思い出すのが、当時自分が路頭に迷ったときに、無償で手を差し伸べてくれた人たちの言葉だ。「Give and Take」が基本だと思っていた僕は、「どうしてそんなにしてくれるのか? 何も返せないです。」と尋ねたことがある。

返ってきた言葉は、「君も、若い世代にそうすればよい。それが恩返しだ。」だった。今はロスを離れてしまい、渡米する若い世代に何も出来ないが、こうして自分が経験したことを少しでも伝えられればいいなと思う。

今回、なんつーさんがどれだけ感じてくれたか分からないが、すごく楽しんでくれたと思う。リアーナのライブも最高だった。心に触れるものがあった。

全くMCもなく、どんどんと歌い続ける彼女は最後に、「Shut, I hate… this moment, to say good bye and this is last song….」なんだか、彼女らしさが伝わるよい感じだった。

アンコールでは「Stay」と「Diamonds」を歌い上げ、素晴らしいライブだった。なんつーさんも、ライブに興奮して、「うるっときました」と言っていた。

なんつーさんもせっかく来たのでスタジオも見たいだろうと思い、Larrabee Sound Studiosにスタジオツアーを頼んでおいた。タイミングがよければMannyもいるだろうし、ランチでもできるだろうと思っていた。

11時にLarrabeeに行き、マネージャーのAmyにスタジオを案内してもらった。Mannyは2時過ぎに来るらしく、あいにくランチはできそうにない。なんつーさんは、あこがれのLarrabeeだったので、興奮してスタジオの写真を撮りまくっていた。

Amyは以前、Record Plantにいたらしく、「何年頃?」と聞いたら、「95年ごろ」と言うから「じゃ、会っていたね」なんて話をしながら、スタジオめぐりをした。

ちなみに、このスタジオツアーというのは、スタジオを使いたいと思っている人がスタジオを見て回れるシステムだ。どういったアーティストで、どういった仕事をしているのかを伝えれば、たいていのスタジオは受け入れてくれるはずだ。

まぁ、音が聴けるわけではないので、なんとなく雰囲気を見る感じなのだけど、初めての人にはやはりインパクトが強いのだろう。やはりLarrabeeは、HIPHOPやR&Bにとっては聖地だ。

そして、ハリウッドの本社に移動して、いつものルーティンを過ごした。なんつーさんには、ディスクカッティングの現場などを案内した。

8日から行われているNABに合わせて、AVIDがPROTOOLS11を発表したので、10日からNABに行くのが楽しみだったが、あいにく某レコード会社のCEOとのミィーティングが入ってしまった。

飛行機の手配をすべて変えて、ホテルの手続きなども変更した。なんつーさんにどうしても先に行ってもらわないといけなくなったので、少しの不安を覚えながら、「もしホテルにチェックインできなければ、僕に電話して」と話し、なんつーさんを送り出した。

ホテルは予約を入れた人の身分証明やクレジットカードがなければ、チェックインができないのが常識だ。通常のホテルならばよいのだが、ラスベガスは予約を無くしてしまうと次の予約が取れるかわからない。

だから、大丈夫かなと思いながらいたが、案の定、なんつーさんから電話が入り「チェックイン」できないとのことだった。事情を話し、どうすればよいかを聞いて指示に従い、予約の変更をNABに行ってもらいチェックインを済ませた。

「うーん、これは普通では難しいかな。」と思いながら対応した。僕はもう一泊ロスに滞在して、思いもよらないミィーティングを経験することになる。

そして、久しぶりにベガス入りした僕は、ワクワクくんだった。当時建設中だったCOSMOPOLITANなどもできあがって、より一層、クレージーさが増していた。

ここはホテル巡りだけで、丸一日かかる。僕のお気に入りは、長年「Paris」だ。なんといっても、パンがうまい。アメリカで白米を期待することは無理だけど、美味しいパンであればありつける。

僕は結局ミィーティングのせいで、NABには行けずPROTOOLS11は見ることができなかった。64bitのファイルを持ち込まれるのはいつになるのか、どれぐらいで対応を迫られるのだろう。

未だに32bitが多いわけではないので、まだまだ先のような気もする。楽しみが無くなって、少し残念。でもベガス、まさか本物を見ることはないだろうと思っていた「new order」。

なんだか20年前に見たかった気もしたが、それはそれでよかった。ホテルの屋上に特設されたプールのあるステージでのパフォーマンスは雰囲気も違い、格別だった。

そんなふうにラスベガスを2日間過ごし、ホテルをチェックアウトして、なんつーさんとマッカラン空港まで向かった。僕は8時の飛行機だったが、なんつーさんは6時の飛行機だった。

僕は一回スケジュールを変えているので、どうせ揉めるので時間がかかるだろうなと思っていた。案の定、時間を取られてしまった。それなりに時間の余裕を持って行ったはずだった。

「なんつーさんは、ゲートを通れたかな」と思っていたら目の前になんつーさんの姿が。「げっ。」なんでいるの? なんていい人なんだろう。「なんつーさん、飛行機に間に合わないよ。急ごう。」とゲートに向かい、セキュリティーチェックを受けて、「じぁ、僕先に行きます。」と駆けていった。

幸い、マッカランの滑走路が1本しか動いていなかった為に、全便遅れるという事態になり、無事になんつーさんは飛行機に乗れたようだった。本当によかった。これも僕の「報・連・相」が少ないからか。むずかしーい。



PC携帯配信 25%落ち by Yasman
2013年4月1日, 12:00 AM
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東京マラソンでみんなが東京を走っているときに、トピックでPC携帯配信25%落ちとニュースが出た。携帯が40%落ちて、PCが15%上がったということらしい。

結果、25%落ちのようだ。なによりもまずいのが、この統計が11年、震災の年と比べての比率だということ。震災の年より売り上げが落ちる産業があるのだと最初は目を疑った。

これでひとつ明らかになったのは、携帯からスマホに変えて、より便利になったので、ますます音楽を購入せずにYouTubeなどで済ます人が増えたことだ。

決して音楽配信は音楽を豊かにするものではないということがいえると思う。配信で豊かになるのであればEMIはなくなっていないだろうし、UKもアメリカも困ってはいないだろう。

そしてハリウッドのど真ん中にあるCDストアのアメーバーの売り場の1/4がアナログレコードになったりはしないだろう。

3月半ばにはIFPIのデジタルリポートも上がった、デジタルコンテンツが上がったと述べていたが、その内容は前年比0.3%という銀行の利子のような伸び率だった。

これで安心しようと楽観的になれるところが分からない。その利用内容をみると98%がYOUTUBEで、60%がiTunesだった。結局ネットは金にはならない。

それなのになぜみんなSpotifyなどに踊らされるのだろうか。日本の音楽産業を支える、80%のシェアーを持つパッケージをいかに保つかが課題ではないだろうか。

パッケージに魅力があるからこそ、アメリカは利益率の高いアナログを一生懸命販売しているのだ。

1月にロスにいったときに、「おまえらはまだCDが売れていていいな。」と言われた。以前は「まだCDをやっているのか。」と言われたものだ。
要はパッケージ依存こそ音楽業界が生き残れる道なのだ。

どうしてかというと,音楽業界は長年にわたって過去のものを販売して成長を続けてきた。これが配信によって揺るがされてしまったのだ。 もうすでにあるものを買う必要はないと皆思ったはずだ。

新たらしいものを作って売るという自転車操業に変わってしまった。そして日本のパッケージ依存という言葉にも揺るぎが出てきた。

window8が発売されて急激にドライブレス(スロットを持たない)PCが増えてきた。しかもタブレットの成長率は95%にもなる。たぶん2年も経たないうちに、世の中はドライブがないものが主流となりリッピングができない状況が生まれてくる。

この人たちが配信で音楽を買うかというと、ほとんどの人たちがYouTubeで音楽を聴くことに満足してしまうだろう。80%の砦が崩されてしまうのだ。だからといって何も手の打ちようがないのが音楽業界だ。

このことに少し危機感を持ってほしいと思う。ならば配信で食べていけるようにしないと...。先程述べたように、0.3%の成長しかないのだ。僕たちがやるべきことは配信に力を注ぐのではなく、80%を保ち、その80%の市場を大きくすることだ。

間違わないでほしいのは、80%を100%にするのではなく、80%をより豊かにすることだ。人が音楽を楽しむ選択はたくさんあればあるほうがよいと思う。

CD/DVDが意味なきものになるならば、それに変わるものを販売しなければならない。パッケージには手売りができるという強みがある。だから残さなければいけないし、今後を真剣に考えるべきだと思う。

これからのパッケージには3つが必要だ。1つは、今パッケージが売れている理由である「おまけ」が付くこと。「握手券」、「グッズ」、「コンサートチケット」。多種多様の特典を付けていく。

そして2つ目は、音楽業界としてクォリティーの高いコンテンツを提供すること。ハイサンプリングでマスターの状態をコンシューマーに提供する。録ったものそのものをHDで提供する。

そしてコンシューマーを魅了して、お金を払う価値のあるものをしっかり提供する。それを誰が求めているのかという議論は、馬鹿なマーケティング担当に任せておこう。

僕たちは感動を与える音楽を作り、みんなにそれを感じてほしいと思い、この業界に入ったはずだ。そうであれば、最高のものを提供することは僕たちの義務だと思う。「いいじゃん、圧縮で」という人は、さっさと辞めてほしいと思う。 

3つめは、ドライブレス時代に対応して、PCが無くても自分のもつ携帯端末に音楽ファイルを転送できること。せっかくお金を出して買ったメディアがどこにもコピーができなければ、楽しむことができない。 

そこにいくらハイクォリティーのものが入っていようが、楽しめなければ「音楽」ではない。だから僕たちは簡単に、自分達のスマートフォンに配信されているものより良い音質のMP3データを転送できるようにする。

そしてそれは自分に子供が3人いて、「聞かせて」とせがまれれば、「はい」といって簡単に子供達のメディアプレーヤーに移してあげられなければいけないと思う。PCを持たない、女子高生や女子大生が簡単に自分の端末に移せるものでないといけないと思う。

そんな理想的な作品を、SOPHIAの最新アルバム「未来大人宣言」でやった。http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E5%AE%A3%E8%A8%80-Blu-ray-Disc-BDM%E4%BB%95%E6%A7%98-SOPHIA/dp/B00AU5R7GK/ref=wl_it_dp_o_pC_nS_nC?ie=UTF8&colid=RJ7YJNS819BA&coliid=I1TRAFNPXJQ0MP

もし知らなければ、1枚購入して体験してほしい。「未来 音人 宣言」を感じるはずだ。

そしてブルーレイのコンテンツを今まで発売したことのないアーティストが発売したこの作品、CD、DVD付きCD、BDM(ブルーレイディスクミュージック)と3種類のパッケージを発売して、全体の10%がBDMというブルーレイ作品だったことをお伝えしておこう。

そう、売り上げを10%近く押し上げたのだ。実際にはCDを買わず、BDMのみを購入した人もいたかもしれない。でも考えてほしい。新しいメディアなのだ。単価をしっかり上げれば、たとえ置き換わっても利益が上がる。

僕は、SOPHIAの「未来大人宣言」という曲が大好きだ。本当に歌詞にあるような思いで、この作品に携われてよかったと思う。マスタリングエンジニアとしていつも44.1KHzにすることへのジレンマがある。

どうすればマスターのように表現ができるのかと。SOPHIAの場合,特にそれを感じる。だから96/24で発売できて本当によかった。SOPHIAの作品として「未来大人宣言」を96/24で残せたことを誇りに思う。



ファイナル ファンタジーのBDM by Yasman
2013年3月1日, 10:19 AM
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年末に、ファイナル ファンタジーのBDM(Blu-ray Disc Music)オーケストラアルバムを仕上げた。

当初は2枚組のCDで発売するはずだったものを、CD発売せずにBDMで発売することになった。この決断をされたスクウェア・エニックスさんには感謝したい。そして、セールスもうまくいっているようだ。

その上にファンからの評判もよく、さすがゲームのファン層、新しい試みへの順応性は素晴らしい。これにはスクエニさんも、

「ここまで素直に受け入れられるとは思わなかった。」と話していた。

スクエニさんの音楽事業部も、最初はかなり上からの批判があったようだが、デモディスクが出来上がり社内で見せたら、「ここはこうしたほうがよい。」などの意見が出だしたらしい。

「いまさら修正には遅いですが、社内評判はよいですよ。」と言われた。僕たちも自信があったので、「どうだ」という気持ちではあったが、少し安堵した。

僕が知るかぎり、CDを発売しないというのは、ここ四半世紀で初めてのことではないかと思う。その勇気を讃えたい。

本当に短い制作時間でこれだけのものを作れたのは、携わったすべての人の情熱のおかげだと思う。アマゾンのレビューを観ると、ものの見事に、気に入っている人とメディアの違いを全く意識もせず内容を評価している人もいるぐらいで、本当に喜ばしい。

中には映像ものと思って購入した人もいたようで、この辺のマーケットの調整はこれからの課題だ。当初は20曲程度だったが、フル・オーケストラもの23曲とオリジナルゲーム音源を24曲、96K/24bitで収録して合計で3時間10分。

CDであれば、3枚もしくは4枚組のボリュームになった。それを1枚で聞ける素晴らしさは音楽のメディアとして理想的だ。レコード時代、誰もがベートーペンの第九を最後まで途切れずに聞きたいと思いCDがそれを可能にした。

一つの作品として構成されるべきものが分かれているのは、作品の持つパッションを損なうものだと思う。だから作品として構成したい。

音も途切れるのが嫌だったので、サンプリングレートも同じにした。ゲーム音源に96Kが必要なのかと言われているのも耳にするが、多くの理由は音楽をまたがった時にレートが違うとアンプのほうが切り替えられてしまい、クリックノイズになると思ったからだ。

今回はオリジナル音源を収録しているので、オーケストラを聴いたり、原曲を聴いたりする人がいるだろうと思ったので、そういう仕様にした。

そして写真集も入れたかったので、それも収録して、プロモーションビデオやドキュメンタリーの映像ものも収録した。こうすることによって、音楽の背景が伝わると思ったからだ。

オーケストラを聴き、写真集を見て、またオーケストラを聴き直すと全く違って音楽が響いてくる。ドキュメンタリーを見て、またオーケストラを聴くと違って聞こえてくる。

イメージをインプットするごとに感覚が大きく左右される。 五感を使うからこそ楽しめる素晴らしい部分だ。曲を伝えることは音楽だけではない。ばかばかしいスベースバーを叩くことでもない。

気持ちに溶け込んでこそ、アーティストが奏でたものが伝わるんだと常々思っている。そして、今回大きく改善したのは、ディスクからMP3のデータをローカルLANを用いてダウンロードできるようにしたことだ。(これについては次月詳しく話をしよう。)

ネットを使わないために、どこそこから課金されることなく、手持ちの端末にコピーができる。しかもローカルLANを使っているので、転送速度に左右されることもなく、データを移せる。

アマゾンのレビューの中には、WAVやFLACをいれて欲しいという希望があった。これも可能だが、今回は96/24から320kのファイルを作った。2時間以上あるファイルでも、5分ほどでダウンロードができる。

そして再生しても「これならば」というレベルにあると思う。しかも今回は、ローカルLANが使えない人用に、ネットダウンロードも3ヶ月間だけ用意した。ただ、こちらは128kのファイルにした。それでも123MBもあるファイルなので、インターネットではそこそこかかってしまう。

レビューの中にはブルーレイは聞かず、ファイルを落として娘たちが楽しんでいるという話もあった。皆が楽しめるものを供給する。これこそ制作者の醍醐味ではないだろうか。

曲に歌詞があるものには歌詞表示をし、曲を聴きながら楽しめるようにディスコグラフィーも少々付けた。

あるプロデューサーが言っていたが、今やテレビをみると文字が表示されるのが当たり前になっている。それに慣れてしまった今、文字がでないと伝わらないものがたくさんあると話していた。

僕は「確かに」と思い、歌詞表示の重要性を再認識した。なんせ「レ・ミゼラブル」という洋楽を見て、泣いているのだから。サブタイトルが与える重要性がわかると思う。

今回、発売前に3日間、銀座のソニービルで視聴会を開催した。初日には植松先生と僕との対談なども催された。60人ぐらいはいたと思うが、その中でローカルLANを持っていないのは1人だけだった。

CDが発売されないので、誰も44.1kと96kの聞き比べができないと思い、会場で聞き比べをしようと思い、CDを作って聞き比べを試みることにした。

あまりみんな興味がないだろうなと思っていたが、ふたを開けるとびっくり、みんな興味津々に聞き入って、その違いに驚いていた。(こちらはその驚きに驚いたけれど。)

会場で音調整のために流したときには、スタッフからレベルが違うと言われたが、全く同じレベルとEQにした。96/24と44/16では音像が2周りほど違うので、レベルが違って聞こえるのだ。

これはシステムがよくなるごとに大きくなるし、小さいシステムでもしっかりわかる。
3日間でたくさんの人が会場を訪れて、BDMを楽しんだと聞いている。

年末には相変わらず、カウントダウン・ジャパンに行ったが、31日はファイナルファンタジーの国際フォーラムのコンサートでBDMの物販を手伝った。自分が制作に携わったものを販売するのは楽しい。

制作している人は、一度は作ったものを実際に販売してみるべきだ。何が作品の売りなのか、それがファンの求めているものなのかがよくわかると思う。そして手応えも、手落ちも感じると思う。

販売しているうちにファンと話をして、作品についてどう思ったか、うまく使えたかを聞いてみた。みんなこうなったことを喜んでいたし、全く何が発売されたのか知らない人もいた。

1つ1つを丁寧に説明していくことが大切で、興奮してもらうのだ。開場が17時なのに、1時半から販売をして3時前には200を完売してしまい、すごい手応えを感じた。

開場前には品物がないという残念な話になってしまったが、幕張には早めに入れた。実際にはものがなくなるという事態になり、年明け20日までは品不足がつづき、やっと改善されたようだ。

一時は販売価格より高い値段が付き、アマゾンで販売されていた。もし知らなければ、購入してみてほしい。よくできていると思うし、希望が持てるはず。

ただ雨が降るのを祈っていても、雨は降らない。祈らず、水が出るまで穴を掘ろう。ショベルが折れて、スコップになって、素手になるかもしれない、でも掘り続ける。スクエニさんはこれからも続けていくといわれているし、次回作はもっとすごいことになると思う。 HOPE SET HIGHT, DIG A HOLE, KEEP DIGGING ON. .



ラ・フォルジュルネ by Yasman
2012年5月12日, 11:09 AM
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毎年恒例のラ・フォルジュルネに行ってきた。 

去年は震災があり中止されたので、2年ぶりの開催になった。

テーマはロシア。 いいところをはめてくる。 


チャイコフスキーはみんな好きだし。ストラビンスキーや

プロトエコフ、ラフマニノフ、ショスターコビッチといった

僕の好きな作曲家ばかりではないか。


こんなテーマを持ってくるなんて「憎い」と思ったが、

プログラムの内容を見てびっくり。コア過ぎる。

できればもっとわかりやすいものにして欲しかった。 


ラフマニノフのピアノ4番...、んーと、思い出せない。

とにかく行きたいものは行けるだけ行こうと3日間、時間の

許す限り足を運んだ。


そこには明と暗というか、なんと表現したらよいのかわから

ないけど、すっきりしない部分と、素晴らしいの一言が交差

した。 


公式発表で3日間を通じて47万人の来場があったらしい。 

47万人がどこをどう数えたのか分からないが、僕にはそう

写らなかった。

 

1日目の最終公演のチャイコのピアノ2番ではほとんど人が

入らず、空席だらけだった。昼間の公演はそれなりに埋まって

いるようだったが、それでもSOLD OUTにならなかった公演が

あるようだった。 


これにはほんとに驚いた。会場には、今まで見たことのない

個人基金の受付もあった。クラシックでさえこれだけ音楽離れ

しているのかと思った。


公演の1つで隣の年配の方が「これはひどいな、こんなので

演奏するのか」と、隣の娘さんだと思う人に話をしていた。

「やっぱり高いんだよな。50分で3000円だろ。普通は

7000円で120分の定期公演にいけるからな。」と言われ

ていた。 


僕は、3000円で生のクラシックがダイナミックに聴ける

ので安いと思うが、そうでない人もいるのだなと思った。 

そこで、もはや人と音楽の関わり方が変わったのではない

だろうかと感じた。


この5000人入るホールにいる1000人程度の人は古い

人達で、「今も昔と変わらず音楽に接している人なんだな」

と思った。 僕もその中の一人なので、新しい接し方がどんな

ものか分かりもしない。 


そう思って、最終日の最終公演を迎えた。チケットはSOLD OUT

プログラムは、ラフマニノフのピアノ2番。これは一昨年の

シューベルトイヤーでもトリの公演だった。それは素晴らしい演奏で、

その会場を魅了した。


そのとき、何故シューベルトイヤーにラフマニノフがトリ?と

いろいろ考えたが、丁度のだめがブームだったのでそれの影響

だろうと思った。とにかくその公演がもう一度見れるのだから、

うれしいだらけだ。


たぶん僕と同じような人がたくさんいたのかもしれない。

それがSOLD OUTということに繋がるのであれば、

「ちゃんとした告知」や「楽曲の見せ方や聞かせかた」で随分、

コンシューマーの受け取り方は変わってくるだろうなと思った。


きっちり発信し、コミュニケートをとることで結果は変わった

だろう。クラシックのイベントが変わらないといけないのか、

「それって不変であってもおかしくないものじゃないか」という

考えが今の現状をもたらしているのかもしれないと考えている

うちに「イタリア奇想曲」が始まった。 


そして最後は見たこともない、5000人のスタンディング

オベーションで幕を閉じた。こんなことがあるのかと目を

疑ったが、その場にいられたことの幸せと最高のパフォーマンス

を見ることができた興奮を感じた。 


この場にいる人達は音楽を楽しんでいる。けっして人が音楽離れを

しているわけではない。ならば、何故大量の空席ができるのだろうか。 

目を瞑らないで考えたい。




御報告 by Yasman
2012年3月30日, 11:08 AM
Filed under: yasman
AVウォッチに掲載された記事です。
是非読んでみてください。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/avt/20120327_521650.html